授乳・離乳食

母乳の冷凍保存と解凍

母乳は冷蔵庫や冷凍庫でどれくらいもつ? 正しい解凍のしかたは? 保存期間の目安をまとめたよ。

読むのに3分

夜中に搾った母乳 1 本、そう簡単には捨てたくないよね。だからこそすぐに疑問が出てくるはず。冷蔵庫? 冷凍庫? どれくらいもつ? 解凍したあとににおいが変でも飲ませていい? この記事では、公的・専門家の推奨にもとづく保存期間の目安と、搾乳から授乳までの手順をひと通りまとめたよ。はじめのうちにほとんどの人がやりがちな失敗と、その避け方も一緒に紹介するね。

搾りたての母乳

室温
最長 4 時間
冷蔵庫
最長 4 日
冷蔵庫内の冷凍室
最長 2 週間
冷凍庫
理想は 6 か月

解凍後

冷蔵庫内
最大 24 時間
温かい状態/室温
1–2 時間
飲み残し
最大 1 時間
再冷凍
しない

保存期間に幅がある理由

保存期間を調べると、すぐに 3 通り、4 通りの答えが出てくることがあるよね。これは、どこかがいい加減という意味ではないよ。推奨を出している機関が複数あり、それぞれ前提にしている条件が少しずつ違うからなんだ。

  • 母乳育児の専門委員会は、母乳育児に関する専門家グループ。2024 年の見解は、家庭で自分の健康な赤ちゃんのために保存する母乳を対象にしていて、この記事の土台になっているよ。

  • Academy of Breastfeeding Medicineという国際的な専門学会も、家庭で暮らす健康な正期産の赤ちゃん向けに独自のプロトコルを出しているよ。そこでは「理想的な条件」と、「とても清潔な条件なら許容される値」の 2 つが示されることが多いんだ。

  • 米国の保健当局や英国の公的医療サービスも、それぞれ独自の保存期間を案内していて、少し短いこともあれば長いこともあるよ。

この違いには、ちゃんとした理由があるよ。たとえば米国の推奨は、冷蔵庫が約 4 °C で保たれている前提のことが多いけれど、家庭の冷蔵庫はそれより高めなこともある。母乳をどれだけ清潔に搾れたか、置いている部屋がどれくらい暖かいかでも変わる。正直に言うと、このテーマの研究は古いものも多く、研究どうしを単純に比べにくいんだ。専門家自身もそう書いているよ。

だからこの記事では、保存期間は幅も含めて示し、情報源で差があるところはより慎重な側をおすすめしているよ。3 か国分の表を覚える必要はないから安心してね。この記事の数字を守れば、安全寄りに考えられるよ。

それから、少し気持ちが軽くなる考え方をひとつ。次の 4 日以内に使う母乳は、冷蔵保存のほうが状態を保ちやすいよ。それ以外は早めに冷凍へ。冷凍した母乳も、大切な赤ちゃんの栄養であることに変わりはない。冷凍は「しかたなくやる方法」ではなく、毎日を少し自由にしてくれる手段だよ。

清潔に搾乳する

保存できる期間は、最初のひと滴から始まるよ。冷やすことは「一時停止」であって、「洗浄」ではないから。搾乳のときに母乳へ入った細菌は、冷凍しても生き残る。解凍した母乳には、冷凍庫で数週間保存したあとでも、新鮮な母乳と同じくらいの生きた細菌が含まれていることがあるよ。その多くは無害で、むしろ赤ちゃんの腸内環境に役立つものもある。それでも、最初から細菌が少ないほど、あとで増えにくいのは確か。この記事の保存期間はすべて、清潔に搾乳していることが前提だよ。実験室みたいに聞こえるかもしれないけれど、やることはシンプル。

  1. 手を洗う:水とせっけんでしっかり。爪の下まで忘れずに。拭くときはペーパータオルか、毎日替えるタオルを使ってね。家庭では手指消毒剤は必須ではなく、使っても母乳がより無菌になるわけではないよ。オフィスや車内などで洗面台が近くにないなら、アルコール系の手指消毒剤が次善の方法。

  2. 胸を特別に洗わない:毎日のシャワーでぬるま湯が当たる程度で十分。せっけんは皮膚を乾燥させて、乳首の傷みを悪化させることがあるよ。最初の数滴だけを捨てる必要もない。残りより汚れているわけではないから。

  3. 保存容器に直接搾る:移し替えのたびに、細菌が入る機会が増えるよ。できるだけ、そのまま保存するボトルやバッグに直接搾ろう。

  4. 搾乳セットは毎回洗う:母乳が触れた部品はすべて分解し、できるだけ早く食器用洗剤と熱いお湯で洗って、流水ですすぎ、自然乾燥かペーパータオルで乾かしてね。乾いた部品は清潔な布で覆っておこう。

手洗いの代わりに、食洗機で 65 °C 以上にして洗ってもいいよ。小さい部品は閉じた小物かごに入れるのがおすすめ。煮沸だけでは洗浄の代わりにはならない。細菌は減らせても、母乳の残りかすまでは落とせないからね。健康な正期産の赤ちゃんなら、母乳育児の専門委員会は「丁寧な洗浄で十分」としているよ。赤ちゃんが生後 2 か月未満、早産、または病気のときは、洗った部品を 1 日 1 回さらに消毒してね。方法は、少なくとも 5 分の煮沸、スチーム消毒器、または電子レンジ用のスチームバッグ。ここで電子レンジが使えるのは「部品」に限るからで、母乳そのものには使わないよ。化学的な消毒剤は、成分が母乳に移るおそれがあるため、専門家はすすめていない。ポンプのメーカーの手入れ方法もあわせて守ってね。

まだポンプを持っていないなら、電動さく乳器は薬局や医療用品店でレンタルできることがあるよ。自分や赤ちゃんの病気が理由で必要な場合は、医師の処方や診断があれば、健康保険で費用がカバーされることもある。外出用には、使いやすい手動ポンプや充電式のポンプが便利だよ。

冷やすのは一時停止ボタンで、除菌ではない。清潔さは最初の一滴から始まるよ。

どんな容器なら使える?

まず安心してほしいのは、ガラスでもプラスチックでも保存バッグでも、特別なシステムは必要ないということ。大切なのは、赤ちゃん用の食品か母乳用として作られていて、しっかり閉まり、きちんと洗えること。それぞれに良さがあるよ。

  • ガラスびんは丈夫で、清潔に保ちやすいのが魅力。冷凍するときは上に余裕が必要だよ。縁までいっぱいにせず、約 2.5 cm 空けておいてね。母乳は凍ると膨らむので、満杯だと割れることがある。

  • プラスチック製のボトルやカップは割れにくいので、冷凍に便利。乳児・幼児の食品用と明記されたものだけを使ってね。哺乳びんへのビスフェノール A の使用は、多くの国ですでに禁止されている。適している素材の例は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、PET。ただし、リサイクル番号だけで判断せず、「ベビーフード用」「母乳用」の表示を優先してね。古いポリカーボネート製哺乳びんを、お下がりや中古で手に入れた場合は、使わないほうが安心。

  • 母乳保存バッグは、冷凍庫で場所を取らないのが大きな利点。丈夫で、しっかり密封でき、破れないように保管できるものを選ぼう。たとえば硬いケースに入れて保存すると安心だよ。家庭用のふつうの冷凍用バッグや製氷袋は、あらかじめ無菌処理されていないので不向き。

ジャムびんなど、本来別の用途の容器は避けてね。十分に洗いきれないことが多いから。尿検体用などの医療用カップも不可。赤ちゃんにとって化学的に安全かどうかが確認されていないよ。

では、ガラスとプラスチックはどちらがいいの? 研究では、脂肪や免疫細胞が容器の内側に残りやすいかどうかが調べられているけれど、結果は一貫していない。全体としては、ガラスとポリプロピレンはほぼ同程度。はっきり生きた細胞が少なかったのはステンレス製だったという報告があるけれど、有害という意味ではないし、手元のステンレスボトルを捨てる必要はないよ。つまり、毎日の使いやすさで選んで大丈夫。冷蔵用にはボトル、冷凍ストックにはバッグ、という使い分けもできる。

ちょうどいい小分け量

解凍した母乳は冷凍庫に戻せないし、赤ちゃんがボトルに残した分も捨てることになる。だから大きな量で冷凍すると、いつか大切な母乳を無駄にしやすい。いちばんの対策は、小さめに分けておくことだよ。

では、「1 回分」ってどれくらい? 飲む量は赤ちゃんによってかなり違うけれど、計画の目安になる数字はあるよ。

  • 生後すぐの数日間は量がとても少なく、1 日目は 1 回 2–10 ml 程度、3 日目で約 15–30 ml、4 日目で約 30–60 ml のことが多いよ。

  • 生後 1〜6 か月では、完全母乳の赤ちゃんは成長していても、1 日の摂取量が意外と安定していて、約 750–800 ml のことが多い。これを 1 日 6–8 回ほどに分けると、ざっくり 1 回 100 ml 前後。ただし幅は大きくて、1 回 50 ml 強の子もいれば、200 ml 以上飲む子もいるよ。

  • 離乳食が始まるころ— 発達に応じて、生後 5 か月の開始以降、遅くとも生後 7 か月の開始までに勧められることが多い時期 — になると、母乳の量は少しずつ減っていく。でも、しばらくのあいだは母乳がいちばん大切な栄養源であることに変わりないよ。

実際には、赤ちゃんの 1 回分に近い量で冷凍するのがコツ。多くの赤ちゃんでは 60–120 ml くらいが目安で、さらに 15–30 ml の小さい追加分もいくつか用意しておくと便利だよ。最初のボトルで少し足りないとき、1 本まるごと解凍しなくてすむからね。新生児なら、もっと小さく考えて。

数時間外出するときの計算例をひとつ。生後 3 か月の赤ちゃんは、日中はだいたい 2–4 時間おきに飲むことが多いよ。8 時間出かけるなら、そのあいだに約 2–4 回分が必要。1 回約 100 ml とすると、合計 200–400 ml に、少し予備を足すイメージ。これは目安であって決まりではないよ。本当に必要な量は、赤ちゃん自身が教えてくれる。

それぞれの小分けは、搾ったらすぐに消えにくいペンでラベルを書いておこう。必要なのは搾乳日、1 日に何回も搾るなら時刻も。保育園や保育者に預けるなら、赤ちゃんの名前も必要だよ。保存期間は搾乳した時点から数えるので、使う順番は「古いものから」が基本。

母乳を冷凍する手順

何回かやってみると、流れは数分で終わるようになるよ。手順はこんな感じ。

  1. 準備する:手を洗い、清潔な搾乳セットを使い、保存容器に直接搾る。

  2. 閉じてラベルを書く:日付、必要なら時刻と名前を書く。

  3. すぐ冷やす:搾った母乳はすぐに冷蔵庫へ。室温(15–25 °C)でも最長 4 時間はもつけれど、できればすぐ冷やすほうがいいよ。もっと早く冷やしたいなら、密閉した容器を先に少しだけ冷たい流水に当てて。

  4. 使う時期を決める:次の 4 日以内に使うなら冷蔵庫で OK。それ以外は、4 日目ぎりぎりまで待たず、その日のうちに冷凍庫へ。

  5. まとめて保存してもいい:24 時間以内の複数回の搾乳分は、冷蔵した状態でまとめてから一緒に冷凍してもいいよ。ただし、まだ体温に近い搾りたての母乳を、冷たい母乳や凍った母乳に直接足してはだめ。まず冷蔵庫で冷やしてから。いちばん簡単なのは、各回を別々に冷凍する方法。

  6. 余裕を残す:ボトルは縁から約 2.5 cm 下までにしておく。バッグなら空気をやさしく抜いてしっかり閉じ、平らにして凍らせよう。平たく凍らせたバッグは、省スペースで重ねやすく、解凍も早いよ。

  7. 置き場所を選ぶ:冷凍庫の奥に入れて、ドアポケットは避けてね。自動霜取り機能のある冷凍庫では、壁際は一時的に温度が上がることがあるので、ぴったり付けないほうが安心。

  8. 並べ方を決める:新しいものを奥、古いものを手前に。これで自然に古い母乳から使えるよ。

はじめは手間に感じるもの。何回かやれば、ほかのことをしながらでもできるようになるよ。

冷蔵庫と冷凍庫、どちらでどれくらい?

冷蔵庫の中は、どこも同じ温度ではないよ。いちばん冷えやすいのは、たいてい下〜中段の奥、冷却部分に近い場所。母乳はそこに置こう。ドアポケットや上段は不向き。温度が高めで、開け閉めのたびに変動しやすいからね。母乳育児の専門委員会は 4–6 °C を推奨していて、その条件なら最長 4 日使えるとしているよ。

情報源によっては最長 8 日と書かれていることもある。でもそれは、冷蔵庫が確実に 4 °C 以下を保てる場合、またはとても清潔に搾られた母乳の場合。冷蔵庫の温度がわからない、または温度計が 6 °C を超えるなら、3 日で考えるほうが無難だよ。英国の公的医療サービスも、5–10 °C の冷蔵庫ならそう案内している。もし 10 °C を超えているなら、その母乳は「冷蔵」ではなく、室温の保存時間で考えてね。

冷凍については、どんな機器を使うかで変わるよ。

  • 冷蔵庫内の小さな冷凍室は、約 −15 °C 程度のことが多い。ここでは母乳は最長 2 週間。温度の目安は星印で、1 つ星は約 −6 °C、2 つ星は −12 °C、3 つ星と 4 つ星は −18 °C。1 つ星や 2 つ星の区画には、母乳はできれば保存しないでね。

  • 独立した冷凍庫、冷凍ストッカー、または 4 つ星の冷凍室で、−18 °C 以下を保てるものはストック向き。理想は 6 か月以内に使い切ること、最長 12 か月までは許容範囲とされているよ。2 週間を超える保存について、母乳育児の専門委員会が挙げているのは 4 つ星の冷凍室か独立した冷凍庫だけ。

では、なぜいつも 12 か月保存にしないの? 理由は、冷凍中に母乳の質が少し落ちることがあるから。研究結果は一様ではないけれど、ある研究では約 3 か月後に脂肪・たんぱく質・エネルギーが少し低くなり、ビタミン C は最初の数か月で減少、いくつかの免疫成分も減っていた。一方で、別の研究では主要な栄養素は 9 か月後でも変わらなかった。覚えやすいルールはひとつ。保存期間が短いほど、多くの成分が保たれやすい。6 か月を目標に、12 か月は本当に上限と考えてね。

職場で搾乳するなら、母乳は職場の冷蔵庫の中で、立てた状態で自分専用のふた付きボックスに入れ、ほかの食品と分けて、名前と日付を書いて保管してね。母乳はほかの体液のような特別な感染対策は不要とされているので、共用冷蔵庫を使って大丈夫。

冷凍はプラン B じゃない。毎日に少し自由をくれる方法だよ。

やさしく解凍する

いちばんやさしい解凍方法は、冷蔵庫でゆっくり戻すこと。だいたい 12 時間かかるので、夜の小さな習慣にしておくと楽だよ。翌日に使う分を前夜に冷凍庫から出して冷蔵庫へ。ゆっくり解凍したほうが、ぬるま湯で急いで戻すより脂肪の損失も少ない。

もっと早く必要なら、方法は 2 つあるよ。

  • 流水で:密閉した容器を、まず冷たい水、そのあとぬるま湯に当ててね。温度は手で触れて温かい程度まで、つまり約 37 °C 以下。

  • 湯せんで:密閉した容器をぬるま湯の入ったボウルに入れ、お湯が冷めたらぬるま湯を足していく。

この方法で急いで解凍した母乳は、2 時間以内に使い切ってね。バッグは、もし漏れていたときのためにボウルに入れて解凍すると安心。開ける前に外側の水気を拭いておこう。母乳育児の専門委員会は室温での解凍も可能としていて、1–4 時間かかるよ。そうするなら途中で様子を見て、液体になったらすぐ冷蔵庫へ。米国の保健当局はこの方法を挙げていない。シンプルにしたいなら、冷蔵庫解凍にしておくのが無難。

電子レンジは絶対に使わないで。温まり方にむらができ、外側がぬるく感じても、中に熱い部分ができて赤ちゃんの口をやけどさせるおそれがあるよ。さらに、免疫グロブリン A やリゾチームなど大切な防御成分も大きく減ってしまう。鍋で温めることや、とても熱いお湯も同じく避けてね。80 °C の湯せんでも、母乳の中に過熱された部分ができることがある。

時間はいつから数えるの? 冷凍庫から出した時点ではなく、母乳が完全に解凍された時点からだよ。使うなら早めに、遅くとも 24 時間以内に。もっと長い時間を認める情報源もあるけれど、ここでは慎重なほうを採用しているよ。解凍後に室温に置いた母乳や、温めた母乳は、1–2 時間以内に飲み切り、冷蔵庫には戻さないでね。

解凍した母乳は再冷凍しない。これについては、母乳育児の専門委員会、米国の保健当局、英国の公的医療サービスが一致しているよ。半解凍の間に増えた細菌は、もう一度凍らせてもなくならないから。少しでも解けたら冷蔵庫に入れ、24 時間以内に使い切ってね。小分けにしておくと、このルールも守りやすい。

温める? それとも冷たいまま?

母乳は必ず温かくする必要はないよ。室温のまま、あるいは冷蔵庫から出して冷たいままでも飲む赤ちゃんは多いし、もちろん好みがはっきりしている子もいる。特に急いでいるときや、ほかの人が飲ませるときは、一度試してみて。温めるたびに時間がかかるし、熱くしすぎると大切な成分も減ってしまうから。

温めるならやさしく。電子レンジやコンロは使わないでね。

  1. 密閉したボトルを、約 37 °C 以下のぬるま湯に入れるか、ボトルウォーマーを使ってね。目安は 15–20 分。

  2. ボトルはやさしく回したり傾けたりして混ぜよう。上にクリーム状の脂肪が分かれてたまるのは普通のこと。軽く動かせばまた混ざるよ。英国の公的医療サービスは、軽く振ることも問題ないとしている。

  3. 手首の内側に少し垂らして確認してね。心地よく温かい程度で、熱くてはいけない。

  4. ボトルウォーマーは毎日洗って。温かい水の中では細菌が増えやすいよ。

なぜ高温はだめなの? 約 40 °C を超えると、母乳の防御成分やほかの繊細な成分が失われていくから。そして赤ちゃんの皮膚は大人よりやけどしやすい。液体は約 50 °C から、短時間でも熱傷の原因になりうるよ。特に夜中で疲れているときは、「少しぬるいくらい」で止めるのが安全。さらに、温めるのは赤ちゃんが本当に起きていて、お腹がすいてからにしてね。温めた母乳は冷蔵庫に戻せず、もう一度温め直すこともできない。

飲みかけのボトル

赤ちゃんがボトルから飲み始めると、乳首を通して口の中の細菌が母乳に入るよ。細菌にとっては増えやすい環境になるから、飲み残しには短い別ルールがある。残った分は、最初のひと口から 1 時間後を目安に捨てるのがいちばん安全。最長でも 2 時間までで、これは温めた時点から数えるよ。つまり、赤ちゃんが飲み始めるのが遅かったとしても、温めた母乳はその時点で処分。

ポンプで苦労して搾った母乳だと思うと、つらいよね。少しでも残りを減らすコツはあるよ。

  • まずは少なめの量を出して、足りなければ小さな追加分を解凍する。

  • 飲みかけのボトルを次の授乳のために冷蔵庫へ戻さないこと。残りを未開封の母乳に戻すのもだめ。

  • 毎回かなり残すなら、次からは冷凍する量を少し小さくしてみて。

  • 数日だけでも、実際にどれくらい飲んだか記録しておくと、合う量が見えてくるよ。

もっと簡単にするなら、ボトルごとに Moonsleep に記録してみて。統計で 1 日の本数や飲んだ母乳の合計量がわかるし、いま授乳している人も同じ記録を見られるから、夜中の 3 時でも最後に飲んだ時間がすぐわかるよ。

まず期限を確認して、そのあとでにおい。石けんっぽいなら多くは問題なし。酸っぱい、腐ったようなにおいなら廃棄。

石けんっぽい? 金属っぽい?

解凍した母乳のにおいをかいだら、石けんっぽい、金属っぽい、あるいは少し酸化した油のように感じることがあるかもしれない。搾りたてとは全然違う、と驚くよね。でも慌てなくて大丈夫。保存した母乳ではよくある変化で、多くは無害だよ。

理由のひとつは、リパーゼという酵素。これは母乳にもともと含まれていて、冷蔵庫でも冷凍庫でも乳脂肪を脂肪酸に分解していく。においは、その脂肪酸が酸素と反応するときに出ると考えられているよ。冷凍庫で長めに保存すると、たとえば 3 か月を過ぎたころから、味が少し石けんっぽく感じられることもある。興味深いのは、この分解が細菌に対して働き、解凍後の母乳の中で細菌が増えるのを抑えること。

このにおいがあっても、正しく保存されていれば安全で、ほとんどの赤ちゃんは気にせず飲むよ。このにおいのせいで赤ちゃんがよく拒否する、という根拠もはっきりしていない。もし本当に嫌がるなら、試せることがある。

  • 早めに使う:石けんっぽい風味は、長く冷凍した母乳で出やすいよ。見込める量だけ冷凍して、できれば数か月より数週間のうちに使おう。

  • 試しに少量だけ冷凍する:少しだけ凍らせて、1 週間後に解凍してにおいを確認してみて。たくさんストックする前に、自分の母乳がどのくらいで変化するかがわかるよ。

  • 温度を変えてみる:温かいほうが飲みやすい子もいれば、冷たいほうが好きな子もいる。

  • 煮立てない:ネットでは、冷凍前に搾りたての母乳をしっかり加熱してリパーゼを止める、という方法を見かけるかもしれない。でも、国際的な母乳育児医学の学会はすすめていないよ。40 °C を超える熱で、多くの防御成分が壊れてしまう可能性があるから。

ただし、本当に傷んでいる母乳は別。酸っぱいにおい、腐ったようなにおいがする、糸を引く、膿のように見えるなら、赤ちゃんには飲ませないでね。期限を過ぎている母乳も、においに関係なく使わない。迷ったら、何時間も悩むより、一度捨てるほうが安全だよ。

母乳を安全に持ち運ぶ

職場へ行くとき、保育園へ持っていくとき、祖父母の家へ行くときは、保冷力のあるクーラーバッグと保冷剤が必要。長距離なら、発泡スチロール箱に保冷剤を入れるほうが、さらに冷たさを保ちやすいよ。詰め方のコツはこれ。

  1. 母乳は先に冷蔵庫でしっかり冷やしておく。搾りたてで温かい母乳を、そのままバッグに入れないでね。

  2. ボトルは立てて入れ、保冷剤を間にはさむ。ガラスびんなら、1 本ずつ布などでくるんでおくと安心。

  3. 移動中は、できるだけバッグを開けない。

  4. 着いたらすぐ、冷蔵庫か冷凍庫へ。

冷たい状態が保たれていれば、クーラーバッグの中で母乳は最長 24 時間もつよ。この時間も保存時間に含まれる。つまり、バッグの中で丸 1 日過ごした母乳は、そのあと冷蔵庫に入れても最長 3 日まで。これは母乳育児の専門委員会、米国の保健当局、英国の公的医療サービスが一致している点だよ。前提は、バッグ内が 15 °C 以下に保たれていること。理想は 4–6 °C。

冷凍した母乳は、移動中に解けないようにしたいね。保冷剤にぴったり寄せて詰めて。もし半解凍で着いたら、解凍した母乳として扱うこと。すぐ冷蔵庫に入れて 24 時間以内に使い切り、再冷凍はしないでね。

保育園や家庭での保育で搾乳した母乳を使うなら、冷やした状態でクーラーバッグに入れ、1 つずつ名前と日付を書くこと。施設でどう保存し、どう温めるのかは事前に確認しておこう。母乳育児の専門委員会は、このための案内資料として「保育施設・家庭的保育での母乳の扱い」を出しているよ。スタッフが迷っているときは、そうした公的資料があると伝えるのも役立つ。

仕事に戻るなら、住んでいる国や地域によっては、出産後 12 か月のあいだ、授乳に必要な時間の有給の休憩が認められていることがあるよ。たとえば 1 日 2 回各 30 分、または 1 回 60 分。8 時間を超えて連続で働く場合は、近くに授乳できる場所がなければ、1 日 2 回各 45 分、または 1 回 90 分とされることもある。この時間を前後の勤務で埋め合わせなくてよい制度もあるから、詳しくは自分の地域のルールを確認してね。実際にどこで落ち着いて搾乳できるか、母乳をどこで冷やせるかは、復職前に雇用主と話しておくのがおすすめ。

搾乳した母乳を持って飛行機に乗るなら、機内持ち込みできる量や保安検査の流れを、航空会社と空港に事前に確認しておこう。

仕事と母乳育児は両立できる。そのための時間をとるのは、あなたの権利だよ。

よくある失敗

はじめて母乳を保存するとき、つまずきやすいポイントはみんなだいたい同じ。どれも大事件ではないけれど、母乳や気力を消耗しやすい失敗だよ。

  • 容器いっぱいに入れて凍らせた:母乳は膨らむので、ガラスは割れ、バッグは破れることがある。約 2.5 cm の余裕を。

  • 冷蔵庫のドアに置いた:いちばん暖かく、開けるたびに温度が揺れる。置き場所は奥の下〜中段。

  • 温かい母乳を凍った母乳に注いだ:表面が半解凍になる。搾りたては先に冷蔵庫で冷やしてから足してね。

  • 日付を書かずに冷凍した:3 週間後にはどれから使うかわからなくなる。すぐに消えにくく記入。

  • 量が大きすぎた:飲まれなかった分は捨てることになる。1 回分サイズ+少量の追加分にすると無駄が減る。

  • 冷蔵庫内の小さな冷凍室にストックした:そこでは 2 週間しかもたない。長く保存するなら −18 °C が必要。

  • キッチンカウンターで一晩解凍した:長時間ぬるいままになってしまう。一晩かけて解凍するなら冷蔵庫で。

  • 「少しだけ」と電子レンジにかけた:短時間でも温まり方にむらが出て、熱い部分ができる。ぬるま湯の湯せんにしてね。

  • 解凍した母乳をもう一度凍らせた:これはしないでね。小さめに分けて解凍すると防げる。

  • 飲みかけのボトルをあとで使おうと残した:残りは 1 時間後、遅くとも 2 時間後には廃棄。

  • 石けんっぽいにおいを腐敗と勘違いした:多くはリパーゼが原因で、期限内なら問題ないことが多い。

  • 家庭用の別用途容器を使った:ジャムびん、一般的な冷凍バッグ、製氷袋は母乳保存向きではない。

  • ポンプ部品を軽くすすいだだけで終えた:母乳の残りは細菌の大好物。分解して、熱いお湯と洗剤で洗い、乾かしてね。洗うときはシンクの中ではなく、専用のボウルを使う。

早産児と入院中の赤ちゃん

この記事の内容は、家庭で暮らす健康な赤ちゃんと、自分の母乳についてのもの。赤ちゃんが早産、入院中、または病気なら、病棟のルールが最優先だよ。ここで紹介した推奨と違っていても、それには理由がある。早産児や病気の赤ちゃんには、別の専門的な基準があるからね。

できれば最初に確認しておこう。どんな容器を使うのか、ラベルはどう書くのか、家の冷蔵庫でどれくらい置いてから持参してよいのか、どう運ぶのか。病院のルールは、あなたを信用していないからではなく、いちばん小さく弱い赤ちゃんを守るためだよ。ほかの人の母乳を赤ちゃんに使うのは、母乳バンクを通した場合だけ。インターネットで母乳を売買したり、知らない家庭へ個人的に譲ったりもしないでね。検査されていない母乳には、病原体、薬剤、その他の物質が含まれている可能性があると、母乳育児の専門委員会も強く注意している。

穏やかな夜はここから始まります。

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よくある質問

複数回の搾乳分を 1 つの容器にまとめてもいい?

いいよ。ただしルールは 2 つ。まず、搾りたての母乳は先に冷蔵庫で冷やしてから、すでに冷えている母乳に足してね。温かいまま加えると、冷たい母乳まで温まってしまうから。次に、まとめてよいのは最長 24 時間まで。4–6 °C で 1 日のあいだ集めた母乳は、あとでまとめて冷凍してよいとされているよ。母乳育児の専門委員会によると、冷やした母乳を、すでに凍っている分に足すことも可能。ただし、そのあとすぐ冷凍庫に戻すことが条件。半解凍を防ぐため、凍った量が多いところへ少量だけ足し、膨らむ余地も残してね。いちばん簡単なのは、各回を別々に冷凍する方法。ラベルの日付は、いちばん古い搾乳分に合わせて書こう。期限はそこから数えるよ。

母乳を製氷皿で凍らせてもいい?

おすすめしないよ。家庭用の製氷皿や製氷袋は母乳保存のために作られていないから。母乳育児の専門委員会も、本来の用途ではない家庭用容器は、十分に清潔にしきれないことがあるため避けるよう勧めているし、一般的な製氷袋や冷凍バッグは、あらかじめ無菌処理されていない。ミニ量にしたいなら、15–30 ml を小さめの母乳保存バッグか、赤ちゃん用食品向けの小さなボトルに冷凍しよう。最初のボトルのあとに少し足したいとき、とても便利だよ。

停電した。母乳はまだ使える?

まずは冷蔵庫と冷凍庫を閉めたままにしてね。そうすれば、冷蔵庫は約 4 時間、冷凍庫は満杯なら約 48 時間、半分くらいなら約 24 時間、冷たさを保てることが多い。これは米国の保健当局が食品について示している目安だよ。そのあとも完全に凍ったままなら、冷凍庫に置いておいて大丈夫。半解凍または解凍してしまったら、解凍した母乳として扱ってね。冷凍庫の保冷剤と一緒にクーラーバッグへ移し、24 時間以内に使い切り、再冷凍はしない。まったく冷やせない状態なら、室温の保存時間で考えるよ。搾りたてでまだ冷やせない母乳は、できるだけ早く赤ちゃんに飲ませて。どれくらい暖かい場所に置かれていたかわからないなら、捨てるほうが安全。

長く置きすぎた母乳を、うっかり飲ませてしまった。どうしたらいい?

まずは深呼吸して、自分を責めすぎないでね。次の数時間、赤ちゃんの様子を見て。いつも通り飲めている? おしっこは出ている? いつも通りの反応かな? 嘔吐、下痢、飲みが悪い、いつもより強く眠たがる、発熱があるときは、小児科に連絡してね。診療時間外なら、こども医療電話相談(#8000)や救急相談を利用して。生後 3 か月未満なら、直腸で測って 38.0 °C 以上の発熱は、すぐ医師に相談が必要。呼吸が苦しそう、または起こしてもほとんど反応しないなら、すぐに救急車を呼ぶための119番(救急車)へ。今後のためには、ポンプのそばに消えにくいペンを 1 本置いておくと助かるよ。

乳腺炎や薬を使っているときでも、母乳は保存していい?

細菌性の乳房の炎症や、乳首のカンジダ感染があっても、今の知見では保存した母乳を捨てる必要はないよ。ただし、腐ったようなにおいがする、糸を引く、膿のように見えるなら、赤ちゃんには飲ませず、医師の診察を受けてね。乳腺炎があるとき、英国の公的医療サービスは、授乳を続けるか、赤ちゃんに必要な分だけ搾乳し、それ以上は搾りすぎないこと、冷やすこと、必要なら授乳中でも使える鎮痛薬の例としてイブプロフェンを使うことを案内している。12–24 時間たってもよくならないなら、医療機関へ。薬を使っているなら、授乳と両立できるかを医師や薬剤師に確認してね。授乳中の薬について、独立した無料相談窓口が利用できる地域もあるよ。

必要以上にたくさん冷凍してしまった。どうしたらいい?

まず、これはうれしい悩みでもあるし、全部を無理に使い切らなくても大丈夫。ストックは「古いものから」の順で使って、期限を過ぎたものは使わないでね。赤ちゃんが飲む量より明らかに多い状態が続くなら、寄付を考えてもいい。母乳バンクは主に早産児や病気の新生児を支えていて、多くの地域にあるよ。基本的には、健康で十分な余剰母乳がある母親がドナー候補になる。ただし、事前面談や検査が必要なことが多く、母乳バンクごとの手順に沿って搾乳された母乳しか受け取れない場合もあるので、すでにあるストックは寄付できないことも少なくない。必要としているかどうか、まず連絡して確認してね。母乳を個人的に、あるいはインターネット経由で譲るのは代わりにならない。近くに母乳バンクがないなら、高度周産期医療センターなどに問い合わせてみて。

ここは気をつけて

赤ちゃんの呼吸が苦しそう、唇のまわりが青や灰色っぽい、起こしてもほとんど反応しない、けいれんしている場合は、すぐに119番(救急車)に連絡してね。

次のようなときは、すぐに医師の診察を受けてね。 小児科、診療時間外なら#8000(こども医療電話相談)、または小児救急を利用して。

  • 生後 3 か月未満で、直腸温が 38.0 °C 以上ある — ほかは元気そうに見えても

  • 生後 3 か月未満で、直腸温が 36.5 °C 未満ある:すぐに温めて(肌と肌を合わせる、帽子、毛布)、もう一度測る。それでも低い、ぐったりしている、飲みが悪いなら、すぐ受診

  • 何度も飲むのを嫌がる、ぐったりしている、または普段より強く眠たがる

  • 脱水のサインがある:8 時間以上ぬれたおむつがない、口が乾いている、涙が出ない、大泉門がへこんでいる。生後 5 日以降は、24 時間で重いぬれたおむつが 6 枚未満でも、その日のうちに小児科へ連絡する目安

  • 何度も吐く、または下痢がある。特に、傷んだ可能性のある母乳を飲んだあと

あなた自身のことも大切にしてね:胸が赤い、熱をもっている、腫れている、痛い、または発熱感やインフルエンザのようなだるさがあるなら、医師の診察を受けて。遅くとも 12–24 時間でよくならないなら相談しよう。悪寒、高熱、急速に広がる赤み、強い具合の悪さがあるなら待たずにすぐ受診。診療時間外はこども医療電話相談(#8000)へ、呼吸が苦しい、意識がもうろうとする、循環が不安定なら119番(救急車)へ。搾乳は赤ちゃんが必要な分だけにしてね。搾りすぎはよくある原因のひとつ。搾乳がずっと痛いなら、フランジのサイズも確認して。小さすぎると乳首がこすれて傷つき、大きすぎると効率よく搾れない。乳首はフランジの中で自由に動くのが理想。吸引は最弱から始めて、心地よい範囲でだけ上げてね。迷ったら、遅すぎるより早めに相談するほうがいいよ。

Moonsleep はガイダンスを提供するものであり、医療上の助言ではありません。内容は臨床ガイドラインと専門家の情報源に基づき、Moonsleep の参照データベースと照らし合わせて確認されています。